およそ1年にわたって進められた本研究において、弊社は研究メンバーとして、また事務局として研究会(月1回開催)全体のナビゲーションを担当しました。
書籍の中では「第Ⅰ部 購買行動接点 -1.購買の計画性と買い物ミッション」11ページから43ページ部分がこの研究内容に該当します。この研究では消費者行動研究における目標概念を援用しながら、買い物ミッションという新しい概念の可能性について探っています。
と記すと、すごく難しい内容にも感じられますが、消費者を「お買い物する人=購買者」としてその行動を見ると、次のようなことが言えるのでは、ということを研究しました。
- 計画購買と非計画購買の間には計画のグラデーションがある
- 実際の購買シーンでは柔軟な状況判断と合理的な意思決定をしている
- 購買者の意識・無意識に関わらず、店頭で商品と接点を持つことで頭の中の有機的カテゴライズにより購買につながる
ひとことでいうと、「なんとなく買っちゃった」の「なんとなく」にも、実は達成したい目標(=買い物ミッション)がある、ということです。
本研究において発見された「消費者の購買行動を動機づける目標=買い物ミッション」の存在を明らかにするために、1.定性調査と2.定量調査を組み合わせた生活者調査を設計・実施することで、これまで限定的に捉えられてきた消費者の購買計画について、新たな見方を導き出すことにも貢献しています。
1.定性調査(デプスインタビュー)
数日分のレシート+日記をもとに対象者の普段の買い物実態を丁寧に深堀りしていき、購買時に働く内的要素をあぶり出すことで、“買い物ミッション”の仮説要素を抽出。
2.定量調査(ウェブリサーチ)
定性調査結果に基づき、回答者の過去24時間の全買い物実態を把握することで購買を規定している軸を見つけ出し、クラスター分析によって最終的に13の買い物ミッション(書籍では8ミッションに集約)を策定。