公益社団法人日本マーケティング協会発行の機関月刊誌「マーケティングホライズン」2016年12号特集テーマ「みちくさマーケティング」にて、弊社代表のツノダフミコが、巻頭インタビューなど、特集テーマ設定から取材・執筆等を担当いたしました。
特集テーマ「みちくさマーケティング」について
「散歩」が何やらブームです。テレビ番組や雑誌の特集においても散歩が活況を呈しています。ついこの間までは時間に余裕のあるシニア層向けの色合いが濃かったものですが、この頃は地元散歩・観光散歩を軸に地下鉄や路線バスなどによる年代を問わない散歩コンテンツが増えています。ルート案内のスマホ画面で時間を正確に計測しながら、表示された最短距離を歩くのとはワケが違う、散歩。途中途中で気になったものや景色に足を止めながら、どれだけみちくさできるかが散歩の醍醐味、とも言えそうです。
予定調和ではない、さまざまな人やモノ・コトとの出会いに対する期待。番狂わせこそが面白いと言わんばかりの、嬉しいハプニングへの期待。それらに期待する気持ちはわくわく感に他なりません。日頃は安全確実な道をひたすら選び、しかも可能な限り早く効率的に目的を達成すべくあらゆる選択を行っているからこそ、みちくさを楽しめるプロセスに惹かれるのかもしれません。
みちくさとは、決して行き先(ゴール)が決まっていないわけではありません。むしろ、行き先(ゴール)は決まっていることがみちくさの前提です。スタートとゴールは同じでも、その人の嗜好や価値観によってみちくさしたい内容が異なるがゆえに、その人をより理解できるようになります。みちくさの楽しみ方が多様だからこそ、提供する商品やサービスに自分たちの強みを活かした提案をする余地があります。常にハプニングや想定外の出来事があるために、新たな気付きを得る機会が生まれます。
今回の特集では、一見すると回り道のように見える取り組みや、常識から外れているように見える取り組みの事例を集めました。
手間を楽しむための効率化に取り組むリノベーション企業。あえてカオスを生み出すところからスタートさせる共創マーケティング・プロセス。マラソンしながらスイーツを食べるという奇想天外な楽しさ。健康や安心安全文脈ではない有機農業。景色とお料理のマリアージュを味わう贅沢な食堂車。「宝」以上のお宝を手にする宝探し。横丁の赤提灯にもみちくさ的マーケティングが灯りをともしました。
そして、今回アクティブラーニングの先駆的事例を教育現場からもとりあげたのですが、これからの社会で求められる人材こそ「みちくさを楽しめる人」ではないか、と考えた次第です。
仕事の合間にページをめくって、行間でみちくさしてみませんか。
携わった記事一覧
- ライフスタイルのイノベーション
‐Interview 山下 智弘氏 リノベる株式会社 代表取締役 - 共創の本質は 生活者の本音に向き合うことにある
‐Interview 坂田 直樹氏 株式会社Blabo 代表取締役CEO、マーケター