公益社団法人日本マーケティング協会発行の機関月刊誌「マーケティングホライズン」2014年7号特集テーマ「専業主婦2.0」にて、弊社代表のツノダフミコが、巻頭インタビューをはじめ編集に携わりました。
特集テーマ「専業主婦2.0」について
専業主婦、である。
今さら感があるだろうか。それとも、すでに熟知の域に達しているだろうか。
新たな主婦向けの雑誌が相次いで創刊され、若い女性の専業主婦志向が高まっていると言われているこの時代、一方で自治体は待機児童の解消に予算をつぎ込み、国は女性が社会で(というより企業で)活躍する機会を増やそうと政策を講じている。
男女雇用機会均等法が1986年の施行以来、97年、07年と改正を重ねながら、女性が働きやすい環境は確実に整備されてきたのだが、その後のリーマンショック以来、男女を問わず働く環境は過酷さを増していった。
家庭の風景はどうであろうか。92年に共働き世帯が専業主婦世帯を上回って以来、何度か反転を繰り返しながら、97年以降は専業主婦世帯の減少が続くようになった。また、同時に共働きか専業主婦かという以前に、結婚そのものが当たり前の世の中ではなくなってきた。
男性よりも女性は感性や直感で生きる性だと言われている。
男性よりも本能的なサバイバル能力に優れているとも言われている。
そうなのだろうか。だからなのだろうか。専業主婦回帰の流れがあるといわれているのは。
しかし、それは回帰なのだろうか。進化ではないのか。これからの社会をより確実に、より快適に生き抜いていくための知識と手段を新たに身につけはじめた、未来環境適応型のサバイバル能力に優れた希望の新種なのではないか。
働く女性の台頭で、一時、専業主婦は絶滅危惧種であるかのように見られていた時期があったが、新たに「専業主婦2.0」として再び蘇ってきたのかもしれない。「専業主婦2.0」を従来型の専業主婦と比較しようとすると、すぐにそれが意味のないことだと気付くだろう。従来型の専業主婦なんて、人々の頭の中だけに存在するサザエさんかちびまる子ちゃんのお母さんのように、思い込み(ある人にとってはノスタルジーとともに)の中だけにいる、ツチノコのような存在にとっくの昔になっていたのだから。
昭和40年代の専業主婦と比べても意味がない。比べるならば今の専業主婦と未来の専業シュフだ。その人は、主婦かもしれないし、主夫かもしれない。
そう、「専業主婦2.0」は女性だけでなく、いまどきの男性にも共感される存在であり、性と世代を超える種なのだ。
さまざまな角度からとらえた「専業主婦2.0」に未来の暮らしを見つけてみよう。
クリエイティブ・ワーカーとしての新しい「専業主婦」へ
‐Interview 衣川 理花 文藝春秋 ノンフィクション局 第一部 統括次長‐
心身ともにストレスの多い会社に縛られる生き方に見切りをつけ、家事をクリエイティブな仕事ととらえ、家庭を基盤にゆったりと丁寧に日々を暮らす…アメリカの高学歴層における新しい主婦像を紹介した書籍『ハウスワイフ2.0』が日本でも話題になっている。
日本版の編集を担当した文藝春秋の衣川理花氏によると、特に高学歴ハイキャリアだった専業主婦からは多くの共感のコメントが多く寄せられているという。
女性たちが、一見すると輝かしいキャリアを捨ててまで手に入れたいものは何なのか。
現代台頭してきている、これまでにない新しい主婦像について衣川氏にうかがった。