公益社団法人 日本マーケティング協会発行 『MARKETING HORIZON』2010年3号掲載
マリオンの片翼を担う年内閉鎖というニュースを何かしらの切なさを感じながら目にした。84年のオープン時のマリオンの華やかさ以上に、有楽町西武のコンセプト体現型の店づくりはデパートでもなく、ファッションビルでもない唯一絶対の存在として輝いていた。上層階を彩るインポートブランドの数々はバブルの勢いにのり、いつでも静かな賑わいがあった。有楽町西武の中をぶらぶらしていると、必ず友達の誰かに会ったものである。
以来、自分の加齢と、度重なるリニューアルやテナントの入れ替えにより、足を運ぶことはほとんどなくなっていたのだが・・・。首都圏在住のアラフォー以上の女性にとっては、JALの事実上の倒産よりも寂しさや切なさを我が事として感じるニュースである。
デパートは軒並み不振である。やたらと大きい器にたくさんの商品を並べているが、どのデパートに行っても買いたいものがなぜか無くなってしまった。広い店内を探して回るだけの時間も気持ちのゆとりもなくなった。つまらない制服を着た素敵じゃない店員さんからも買いたくない。
有楽町西武は広くないからこその使いやすさがあったものの、かつて熱狂した有楽町西武ファンたちのアクティブエイジングの歩みには付き合ってくれなかった。いつの間にか離れていってしまった。と、かつてのファンは勝手に思っている。きっと有楽町西武側は移り気なファンが離れていってしまった、と思っている。両思いを続けることは難しい。