2010.10.13 事例紹介 産学協同 購買行動共同研究会

事例紹介

消費者の購買価値を高める新しいマーケティング理論を産学共同で構築。同時に売れる売り場づくり、かつ実践的マーケティングに役立てるためのフレームを作り上げました。弊社は研究メンバーとして、また事務局としてプロジェクトに参画し、研究会(月1回開催)全体のナビゲーションを担当しました。

プロジェクトの流れ

1. 仮説の策定

「消費者の購買行動を動機づける目標=買い物ミッション」の存在を明らかにするために、定性調査と定量調査を組み合わせた生活者調査を設計・実施することで、これまで限定的に捉えられてきた消費者の購買計画について、新たな見方を導き出すことになりました。

2. 定性調査による仮説構成要素の抽出

数日分のレシート+日記をもとに対象者の普段の買い物実態をデプスインタビューによって丁寧に深堀りしていき、購買時に働く内的要素をあぶり出すことで、“買い物ミッション”の仮説要素を抽出しました。

3. 定量調査による購買規定要素の抽出

定性調査結果に基づきウェブリサーチを実施、回答者の過去24時間の全買い物実態を把握することで購買を規定している軸を見つけ出しました。

4. 13の購買規定要素の策定

調査結果分析によって最終的に13の買い物ミッション(※以下で紹介している書籍では8ミッションに集約)を策定。消費者を「お買い物する人=購買者」としてその行動を見ると…

  • 計画購買と非計画購買の間には計画のグラデーションがある
  • 実際の購買シーンでは柔軟な状況判断と合理的な意思決定をしている
  • 購買者の意識・無意識に関わらず、店頭で商品と接点を持つことで頭の中の有機的カテゴライズにより購買につながる

簡単にまとめると、「なんとなく買っちゃった」の“なんとなく”にも、実は達成したい目標(=買い物ミッション)がある、ということが本研究を通じて明らかになりました。

研究成果が書籍化されました

書籍名: 顧客接点のマーケティング(千倉書房)
著者名: 恩藏直人、井上淳子、須永努、安藤和代

書籍の中では「第Ⅰ部 購買行動接点 -1.購買の計画性と買い物ミッション」11ページから43ページ部分がこの研究内容に該当します。